ROEとROAⅡ
例)総資産100億円、株主資本50億円、利益10億円の会社がありました。
ROA=利益10億円÷(株主資本50億円+負債50億円)=10%
ROE=利益10億円÷株主資本50億円=20%
ある日、大株主から「もう少し頑張ってくれ」と言われたとします。
ケース1)ROEを高めることで「頑張り」を見せる
社長「わかりました、ROEを高めることで誠意をみせたいと思います。」株主「そうか、じゃあ頼むよ」
社長「ばはは、アホかこいつ。ROEなんかスグに高めてやるよ(▼皿▼)ウシシシシ」
社長「よし、とりあえず負債の借入100億円しとけ」
社員「へ?100億円ですか!?」
社長「そうだ。」
社員「ですが、我が社には新規に100億円も投資できる収益率の高い事業はないですよ」
社員「ROA10%をキープできるような投資先はせいぜい20億円が限界かと」
社長「わかっとるわい、そんなことは」
社長「ROEさえ上げれば株主は文句を言わんのだ。」
社長「たとえ会社の資産運用の効率性を表わすROAが下がっても誰もみとりゃせん。」
社員「そうですか、わかりました。では、さっそく!」
結局、こうして100億円の負債を借り入れることになりました。注目して欲しいのは新規に借り入れた100億円のROAです。
新規借入ROA=新規借入分利益5億円+新規借入100億円=5%
既存資産に対するROAが10%だったことから、この会社にとっては収益率が非常に悪い事業先に投資したと言えます。結果的に、総合的な借入後のROAも低下します。
借入後ROA=借入後利益15億円+借入後総資産200億円=7.5%(-2.5%)
しかし、ROEを見てください。
借入後ROE=借入後利益15億円+株主資本50億円=30%(+10%)
なんと、株主価値の向上性を表わすROEは10%も上昇しています。
さて、結果的にこの会社は株主価値を上昇させ、株主の期待に応えたことになります。けれどなんか納得がいかないですよね?では、さらに検討してみましょう。