上式・図を見ていただけるとお分かりのようにROEとROAの数式上の違いは「負債を含むか含まないか」だけです。
さて、負債を含まないROEと含むROA、それぞれが表わすものとはいったい何だったでしょうか、改めて確認してみましょう。
ROE→株主資本に対してどれだけ利益を上げているかを表わすそうです、ROEとROAが表わすものは別物なんです。
ROE→株主価値の向上性さて、ここからは具体的な例を用いていろいろ検討してみましょう。
例1)企業A・Bともに資産運用の効率性を表わすROAは同じ。よって、効率性の面では企業A・Bともに差はないと言えます(ここでは簡易化のため借入金利分の負担はないものと考えます)。
しかし、ROEはずいぶん違いますね。企業Aが50%に対して企業Bは20%です。これは企業Aの方が企業Bより負債をテコにして利益を出しているからです。資産運用の効率性は同じですが、「株主資本に対してどれだけ利益を上げているか(株主価値の向上性)」という点に関しては企業Aは企業Bに比べ優秀な企業と言えます。
一般的に自己資本比率が低い=「悪い」という印象を抱きがちですが、株式会社の根幹に株主価値の最大化という目的がある限り、企業Aの姿は本来評価されるべきです。「負債の金利<投資事業の収益率」ならば負債をテコにどんどん事業を拡大しても問題はありません。逆に、企業Bは「もっと頑張れ」といった感じですね(笑)
企業A・Bともに株主資本に対してどれだけの利益を上げているかを表わすROEは同じ。よって、株主価値の向上性の面では企業A・Bともに差はないと言えます。
しかし、ROAはずいぶん違いますね。企業Aが20%に対して企業Bは10%です。これは企業Aの方が企業Bよりも収益率の高い事業に資金(資産)を投入しているからです。株主価値の向上性を表わすROEは同じですが「資産をいかに効率的に使い、利益に結び付けているか」という点では企業Aの方が企業Bに比べ優秀だと言えます。
企業Aと企業Bの関係ですが、実は例1と例2では雲泥の差があります。「今後、企業の実力がたいして変化しない」と仮定すれば、将来的に、一方は2企業間の株主価値に差はなくなってきます。が、もう一方は株主価値にものすごい差が開くようになります。さて、例1と例2はそれぞれどちらに当てはまるのでしょうか。
ROEとROAの違いを株初心者の皆さんに理解していただけるよう説明