生産(供給)は資本(工場など)・労働力・生産技術(効率性)によって決定されます。
前回述べたように、「労働人口」の確保については今回発表した政策が実現できればなんとかなりそうです。しかし、それが「労働力」の維持・向上に繋がるのかというと事はそう単純ではありません。
「数」とともに重要なのが個々の「能力」なのです。いくら数を揃えてもそれらの能力が十分なものでなければ「労働力」としてはそれほど貢献できないのです。
しかも今後続々と抜けていくのが男性の正規雇用社員なのですから、労働力の流出は相当なものとなります。今回発表した政策内容の焦点は「既婚女性(25-44歳)」「60歳以上」の就業率の引き上げです。
| 2006年 就業率→10年後目標 | |
|---|---|
| 既卒男性(15-34歳) | 89→93% |
| 既卒未婚女性(15-34歳) | 85→88% |
| 既婚女性(25-44歳) | 57→71% |
| (60-64歳) | 53→66% |
| (65-69歳) | 35→47% |
前回述べたように、日本の女性労働人口の約40%の方がパート(非正規雇用社員)に従事しております。これは「出産・子育て」という女性ならではの問題、そして古い慣行が大きく関与しています。
日本では多くの女性が企業に就職(正規雇用)しても結婚、または出産を機に退職して専業主婦やパートに従事することが多いです。これは育児・仕事の両立ができるような社会環境が十分に整えられていないこともありますが、「公的年金制度におけるサラリーマン世帯の専業主婦優遇措置」が大きく影響しているように思えます。
現在の公的年金制度の下では、サラリーマン世帯の主婦は年収を130万、実働を週30時間までに抑えていれば、保険料を支払わうことなく老後に基礎年金をもらうことができるのです(自営業世帯の主婦は基礎年金の保険料を支払わなければなりません)。つまり、「無理に働かなくても年金が保証されているので暮らせていける」というわけです。
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これは一昔前の慣行(夫が妻子を扶養する←女性が働く環境が整えられていなかった)を基に用意されたもので、もはや女性の社会的地位・賃金が向上し(←他の先進主要国より男女賃金差は大きい)、夫に養ってもらわずとも生活できるようになった(一人で生活しようと思えばある程度できるようになった)現代にはそぐわないモノとなっています。現在は未婚女性・シングルマザーも増えてきており、サラリーマン世帯の専業主婦とその他の女性との間で不公平感が出てきています。
※サラリーマン世帯の専業主婦の年金給付負担は厚生年金(サラリーマンと企業の負担)でまかなわれています。
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ゆえに、この優遇制度によって潜在的な労働力(出産・子育て後に正規雇用社員として職場復帰する女性労働者)を逸しているとも考えられます。(一般的にパートは正規雇用社員と比べ、技術・能力の蓄積をともなわない業務に充てられることが多く、労働期間に応じて労働力が向上していくことを期待しにくいのです)
ただ、単純に「この優遇制度を縮小・廃止すればいい」というわけではありません。これを実施するならするで、女性がきちんと育児・仕事を両立できるような社会環境(夫の家事参加、保育園の増加、企業の育児支援システムの充実)を十分に整えてあげなければなりません。
以上の問題を解決できれば、「既婚女性(25-44歳)」の就業率が引き上がるとともにパート(非正規雇用社員)比率も低下し、結果的に労働力の大幅な拡大が期待できると思われます。(ただ、実際問題企業としてはあまり固定費を上げたくないと思うので、正規雇用の大幅増加はなかなか期待しにくいのですが^^;)
既婚女性と公的年金制度の関係から、現代日本の雇用環境を見る