政府が国内の需要を拡大させ、緩やかな物価上昇の流れを起こすことで、長期...

学校では教えてくれない株のことを、年平均+30%で運用しつづける管理人がイチからわかりやすく教えています。

国内需要を拡大させる対策(日銀の国債買い取り)

経済・財政対策


政府が国内の需要を拡大させ、緩やかな物価上昇の流れを起こすことで、長期的に税収を増やしていこうという方法です。


具体的には、政府が「国民の公平な利益となり得るモノやサービス(公営住宅、発電所、環境、介護・福祉、保育園など)」を生み出す仕事を発注・支援し続けることで、企業の生産を増やし、業績を良くしていきます。


業績が良くなれば従業員の給料[賞与]が増えますし、さらに今の状態で生産が追いつかなくなれば、雇用や設備投資も増えていきます。そして、これらがさらに新たな需要を生み、また別のところで同じ流れが出来上がっていきます。

こうして経済全体にゆっくりプラスの効果が広がっていき、国内全体の需要が押し上げられていきます。その結果、全体的に生産が追いつかなくなり、モノやサービスの価格が徐々に上昇していきます。

 

このような流れで物価の上昇が起こると、[(売上+α)-コスト⇒利益UP]となり、企業の業績は飛躍的に拡大します。必然的に、業績を反映して動く株価も上昇しやすくなります。

株式を保有している人は、保有してる株の価格が上がると、それだけ消費意欲も拡大してモノを買うようになります。

また、株式を持ってない人も、「退職金」や「年金・保険」の積立金の一部がこの株式で運用されていますので、間接的に利益を得ることができます。

(補足)日本が抱える経済問題

 

さらに、このような状況では国の税収も増えていきます。まず、モノが売れるようになると、企業業績が拡大して法人税が増えます。また、その結果、給料[賞与]や雇用が増えることになれば所得税だって増えます。


以上より、需要の拡大によって物価が上がり続けること[インフレ]は、経済にとって確実にプラスです。ただし、上昇ペースが早すぎると貯金の目減りが激しくなる※ので、適度な上昇[年+1~3%]が理想とされています。


※たとえば、1年で物価が+10%上がれば、100万円をタンス預金(金利0%)してる人は、1年前は10万円のモノを10個買えたけど、今年は9個しか買えなくなります[100万円÷(10万円×1.1)]。つまり、金額は変わらないのですが、買えるモノの量が減ってしまうため、実質的な貯金の価値が減っているのです。

 

一見良いことばかりに思えるこの政策ですが1つ問題があります。

それは「しばらくの間、財政状態が一段と悪化する」ことです。

たとえ政府であっても、仕事を発注するためにはお金が要ります。もちろん、今の政府にお金なんてありませんので、国債で調達するしかありません。

しかし、日本が抱える財政問題で示したように、すでに政府の財政状態はぼろぼろです。


仮に、政府が国債をさらに発行しつづけて、買い手がつかなくなったりしたら最後です。

円はたちまち売られ、円の価値は大きく下落してしまいます。そうなると、モノの値段は一気に上昇してしまいます。

このように景気が回復する前にモノの価格だけ急激に上がってしまうと、単に生活が苦しくなるだけでさらなる不況におちいってしまいます。。。

 

現在、こうならないための資金調達手段として、「日本銀行による国債の買い取り」が挙げられています。

これは「国が発行した債券を日銀が金融機関から買い取る」という方法ですが、要するに「日本銀行がお金[円]を刷って間接的に政府に渡す」ということです(実際に紙幣を刷るわけではありません。政府の預金口座の数字を増やすだけです)。

これだと国債の買い手の心配をしなくて済みますが、円に対する信用が失われかねません。

なぜかというと、これならいくらでも債券を発行して円が調達できるからです。つまり、円が無限に増える可能性があるのです。


たとえば、世の中の人はダイヤモンドを高価なものだと考えています。ダイヤモンドは数に限りがあって手に入れにくいものだと知っているからです。しかし、仮にそこら辺に転がっている石ころが全てダイヤモンドだとしたら誰もお金を払って買おうとしませんよね?

少し極端な話をしてしまいましたが、とりあえず「無限に増える可能性」を残していては、円の価値が大きく下落してしまう可能性が高いんです。なので、「日銀の直接引き受け」は原則禁止されています。ただし、特別の場合はできるようになっています。

※また、日銀も「長期国債の保有残高を、お札の発行残高(2011/3、81兆円)以内に抑制する」という自主ルールを作っています[銀行券ルール]。


それなら、「制限[インフレ率など]を設けて、買い取りをやれば良い」という意見があります。しかし、たとえ政府がどれだけ波及効果の高い資金の使い方をしても、かなりの円を刷ることには違いありません。

当然、円の価値は下落するでしょう。しかし、幸いにも1990年代後半から国内の物価は下落[円の価値が上昇]し続けており、かつ今は歴史的な円高[2011/4、1ドル=82円]です。これなら少しくらい円の価値が下落したところでビクともしません。

(補足)日本が抱える経済問題


また、景気回復にともない国債の金利が上昇すると、一気に利子支払いの負担が増えると思われますが、2010年3月末時点の普通国債残高(594兆円)の返済までの残り期間は、平均で6年5ヶ月となっており、一気に負担が増えるわけではありません。ちなみに、日銀が買い取った国債に対する利払いは、大部分が国庫納付金として政府に戻ってきます。

(補足)普通国債残高の残存期間別内訳[PDF]-日本銀行
(参考)国庫納付金とは何ですか?-日本銀行


よって、利子の支払い負担が大きくなる前に、景気を拡大させて税収を増やし、さらに社会保障費(年金負担、医療費負担)を抑制していくことで、なんとか財政を立て直すことができる可能性はあります。

(参考)デフレ維持とインフレ転換後の債務残高(対GDP比)推移をシミュレーション


その他にもいろいろ問題点はあると思いますが、現時点ではこの対策を軸として、他の対策を組み合わせていくのが有効なのではないかと個人的には思っています。

以上のことは、まだまだ勉強不足なため内容が変わることも考えられますが、ひとつハッキリ言えることは、この状況を何の“痛み”もなしに切り抜ける事はもう不可能だということです。

投稿日:2011年04月12日 22:50
日本が抱える財政問題 前のコンテンツへ  次のコンテンツへ 金融機関に資金を融通する対策(...