最近、「日銀がお金を刷るとハイパーインフレ※になる」という声をよく聞き...

学校では教えてくれない株のことを、年平均+30%で運用しつづける管理人がイチからわかりやすく教えています。

ドイツのハイパーインフレ。「外貨建て対外債務」と「輸入依存度」と「輸出力」

ハイパーインフレ


最近、「日銀がお金を刷るとハイパーインフレになる」という声をよく聞きます。しかし、私のおつむが弱いせいでしょうか、なかなかその論理が理解できません。…逆もしかりです(汗”)

※ハイパーインフレの数学的な定義は月率50%となっています。

 

そこで、一度自分でハイパーインフレについて調べてみることにしました。

あくまで個人的な試みですので、参考程度に読んでいただければ幸いです。

 

とりあえず、有名なドイツのハイパーインフレから調べてみます。

 

ドイツのハイパーインフレ(1923年~)

第一次世界大戦[1918年11月休戦協定]に敗れたドイツは、1921年5月に総額1320億金マルク[年20億金マルク、かつ輸出額の26%以上を支払う]の賠償金(対外債務)を請求されました(戦前の生産活動水準で換算して2.5年分)。

※ 1金マルクあたり純金358mg。つまり、473億1183万gの金相当。第一次世界大戦後は、金の裏づけの無いパピエルマルクを発行。

(参考)第一次世界大戦-wikipedia
(参考)ヴェルサイユ条約-wikipedia
(参考)金マルク-wikipedia

 

20億金マルクを今の日本で換算すると、

1320億金マルク÷2.5年=528億金マルク/年
528億金マルク/年÷20億金マルク=26.4倍
470兆円[GDP]÷26.4倍=17.8兆円

 

ドイツは国土が戦場にならなかったおかげで、生産施設の損壊なども少なく、通貨価値の下落(為替レート上昇)効果で輸出力も高まりましたが、それでも人口減※1や戦争に莫大な資源(石炭など)・資金(短期国債を発行して調達)を投入したことで、十分な生産をすることが出来ませんでした(当然、歳入[税収]も相当落ち込んだはずです)。

また、食糧輸入大国であったドイツは、戦時中はもちろんのこと、戦争後も植民地を失ったことから慢性的な食糧不足に悩まされました※2(他国から輸入しようにも為替レートが上昇しているため、十分な量を調達できなかったと思います)。そのため、国内では高水準のインフレが発生していました。

※1 1913年時点でのドイツの人口は6700万人、5歳~59歳の男子人口は1600万人。第一次世界大戦では1320万人が動員。うち、軍人の戦死者数180万人、戦傷者数430万人、捕虜100万人。

※2 第一次世界大戦中、食料輸入大国であったドイツは、輸送網をイギリスの海上封鎖によって断たれ、「兵糧攻め」にあった。その結果、餓死者は76万人(兵士除く)に上った。

(参考)第1次世界大戦期ドイツの戦傷者・軍人遺族扶助-加来祥男
(参考)カブラの冬-第一次世界大戦期ドイツの飢饉と民衆-藤原辰史

 

・パピエルマルクの対ドル為替レート

為替レート
1914年7月(戦前)4.2
1919年5月(戦後)13.5
1919年12月46.8
1921年7月76.7
1922年7月320.0
1923年1月(ルール占領)17,972
1923年7月353,412
1923年8月4,620,455
1923年9月98,860,000
1923年10月25,260,280,000
1923年11月4,200,000,000,000

(参考)ドイツのハイパーインフレについて-第二次世界大戦資料館

 

戦時中に発行した国債の償還に、インフレで負担が増していく“金建て”の賠償金が加わり、巨額の財政赤字[歳出>歳入]が発生しました。国内の資金を吸い上げつくし、もう国債を発行して市場から資金を調達することが出来なくなった政府は、とうとうこの財政赤字分の資金を中央銀行に国債を直接引き受けさせる[ハピエルマルクを刷らせる]形で調達するようになりました。

戦勝国側はこの増刷される通貨の受け取りを嫌がり、次第に石炭や木材など物資による支払いを求めるようになりました。しかし、それでも支払いは滞り、この一連の動向を反映して為替レートも大きく上昇(ハピエルマルクに対する外国人の信用が失墜)しました。

そして1923年1月、ついに戦勝国のフランス・ベルギー軍が石炭などの物資を直接徴収しようと、ドイツ有数の工業地帯である“ルール地方(日本でいう関東・東海の工業地域)”を占領しました。

しかし、ドイツ政府はこれに抵抗し、参加者の給料を支払うことを条件に、ルール地方で働く人民にストライキ[生産しないこと]を呼びかけました。

(参考)ルール占領-wikipedia

 

結果的に、これがハイパーインフレの引き金となりました。まず、生産が大幅に落ち込んだことにより、歳入[税収]は大きくダウン。さらに、ストライキをしている工員に給料を払うため、歳出[社会保障費]は増加。財政赤字はますます拡大し、増刷ペースが一気に加速しました。

さらに、これまでルール地方の輸出によって調達していた外貨が入ってこなくなり、輸入力[食糧調達力]も大きく低下(パピエルマルクは既に信用失墜のため、外貨との交換は不可)。

これが一気に“貨幣量”と“モノ(食糧)”のバランスを崩し、インフレを加速させました

 

・パンの価格

価格(パピエルマルク)インフレ率
1923年1月250
1923年2月38955%
1923年3月46319%
1923年4月4742%
1923年5月4822%
1923年6月1,428196%
1923年7月3,465142%
1923年8月69,0001,891%
1923年9月1,512,0002,091%
1923年10月1,743,000,000115,177%
1923年11月201,000,000,0001,105%
1923年12月399,000,000,00099%

 

※ダイヤモンドやマツタケが高いのは、絶対的に生産量が“少ない”からです。単なる石ころや酸素がタダなのは、逆にいくらでもあるからです。たとえば単なる石ころが地球上で100gしか取れなければどうでしょう。 …すみません、これはあまりピンと来ませんね(汗”)

たとえば、酸素が地球上で1日100kg(1人あたり500g/日が平均消費量)しか生産されなければどうでしょう。 たぶん見たこともない値段がつくハズです。なぜなら、それが無いと生きていけないからです。(ダイヤモンドは無くても生きていけますので、究極の状況になれば値段はつかないです)

今回の食糧[パン]の場合も、酸素と同じく“無くては生きていけない”ものなので、同じ現象が起こってしまったのだと思われます。

さらに、消費者は目の前でモノの価格がみるみる上がっていくのを見てしまうと、「これからもっと上がるんじゃないか?[期待インフレ率の上昇]」と考えるようになり、目の前にあるモノを早く買おうとします。また、販売者は「もっと後に売った方が高く売れる」と考え、商品を出し惜しみしてしまいます。これがさらなるモノ不足を引き起こし、インフレ[通貨価値の下落]を加速させてしまいます。

 

そして、インフレで支払い負担が増えていく“金建て”の賠償金のせいで、財政赤字はますます拡大…という悪循環に入っていきました。。。

※物価が上がれば税収も増えるのでは?と考えましたが、今日パンを売って得た利益も、ハイパーインフレ下では1ヶ月も経つと無価値になるので実質的な税収増は見込めません(銀行預金金利[政策金利]はインフレ率を大きく下回っていました)。

・インフレ率と公定歩合[政策金利]と国債金利

インフレ率公定歩合国債金利
1923年8月1,891%30%
1923年10月115,177%90%108%
1923年11月1,105%10,950%

(参考)ZAR大好きの忘ビロク2

 

また、預金金利が急に上昇してしまうと、逆ザヤが発生してしまい、銀行のビジネスモデルも崩れてしまいます。

この時代の金融市場がどのような構造だったのかは分かりませんが、おそらく中央銀行が何らかの形[公的資金注入国債買い取り(買いオペ)]で銀行を支援していたのではないでしょうか。

 

昔の海外の出来事なので、不確定な情報による推測が多くなってしまいましたが、ドイツのハイパーインフレはだいたいこんな感じでしょうか。

だいぶ頭の中のモヤモヤが無くなりましたが合っているかどうかは分かりません(笑) 今後はいろいろな方たちとの議論を通じて正否を確かめたいと思います。

 

■ドイツのハイパーインフレのポイント

1.巨額の金[外貨]建て対外債務
2.輸入依存度の高さ
3.輸出[外貨獲得手段]の低下

投稿日:2011年12月31日 09:32
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