政府の平成24年度予算の見積もりによると、新規国債発行高は23年度に続き44...

学校では教えてくれない株のことを、年平均+30%で運用しつづける管理人がイチからわかりやすく教えています。

日本国債の金利が急上昇したら円安&インフレ? その後のシナリオを考える

日本債務危機


政府の平成24年度予算の見積もりによると、新規国債発行高は23年度に続き44兆円となる見通しです(汗”)

(参考)平成24年度一般会計歳入歳出概算

 

このまま何も対策を打たずに時が過ぎていくと、日本が抱える財政問題で書きましたように、近い将来国内の民間機関における国債買い余力が尽きてしまいかねません。

また、現在(2012年1月)の政府の対応を見ていても、財政問題が解消するとはとても思えません。そこで、最悪の事態を想定して、このまま“そのとき”を迎えたとして、その後のシナリオを想定してみたいと思います

 

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2012年12月16日の衆議院選挙で、政権が「インフレ政策」を推進する自民党へ変わりました。今後の財政動向を考える上で、↓のページが参考になりそうなのでリンクを貼っておきます。

(参考)デフレ維持とインフレ転換後の債務残高(対GDP比)推移
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※ここに書いてあるシナリオが必ずしも正しいとは思っていません。とりあえず過去の通貨危機やハイパーインフレを研究したことで、自分なりに思うことがあったので、頭の中を整理するついでに、現時点の考えをかんたんに書き留めておくことにしました。今後、認識を改めることがありましたら、そのつど修正していきますので、その点はご了承ください。

 

もしもこのまま日本国債の金利が急上昇したら

20○○年○月○日、日本国債の金利が急上昇(国債価格が急下落)

※きっかけはいろいろ考えられます。上記で述べたように、国内の民間機関による買い余力不足(国債入札の未達)がきっかけとなるかもしれません。また、政府の資金繰り[財政]に対する不安から、海外投資家を中心に円(国債)が売られることがきっかけとなるかもしれません。さらに、欧米の景気回復により、日本国債へ流れていた海外マネーが逆流することがきっかけとなるかもしれません。

 

資産の40%近くが国債で占められる「ゆうちょ銀行」「公的年金」「保険会社」はたちまち評価損失が発生(2011年第3四半期の資金循環参照。民間銀行はゆうちょ銀行に比べ、資産に占める国債比率は17%と低いです)。

※時価が大きく下落したときは、満期保有目的債権でも、回復する見込みのない場合、評価損として計上しなければなりません。ただし、この場合、緊急措置として時価評価を適用させない可能性もあります。


(参考)金利が1%上昇したら日本国債の価格は何%下落する?
(参考)国債金利が上昇しても引出が発生しなければ金融機関は大損しない?
(参考)満期保有目的債権の評価方法-金融商品会計WEB

 

金融機関の破綻懸念より、預金引出の動きが出ます。しかし、通常、金融機関は手元に十分な現金を置いておらず、多額の引き出しに応じるためには、保有している国債などを売らなければなりません。ですが、そうすると資産価格はさらに下落し、損失が拡大してしまいます。

この悪循環を断つため、日銀が緊急措置として金融機関の国債を一部買い取り、資金を供給することになります。さらに、資金が市場に過剰流出するのを防ぐため、政府は預金の引き出し制限を実施します。

 

政府は直ちに事態を収束(財政の信用を回復)させるため、公務員のリストラ・年金カット・医療費負担縮小・各種補助金カットなどの大胆な歳出削減策や消費増税、国有資産の一部(政府保有株式など)売却を発表します

 

※過去の通貨暴落(ハイパーインフレ)は、政府が解消見込みのない財政赤字を、中央銀行に国債を引き受けさせる形[裏づけのない増刷]で対応し続け、モノ不足が生じている市場に通貨を大量供給したことで、モノと通貨のバランスが大きく崩れたことにより発生しています。よって、まずは財政(政府の資金繰り)を立て直すことが根本的な問題の解決に繋がります。

消費税は、住宅購入や教育費など一番支出が多くなる40歳代~50歳代にとって大きな負担となります。一方、支出が減る高齢層は相対的に軽い負担となります。法人税・所得税は現役世代に負担が集中します。

年金カットは、一見高齢層に負担が集中するように見えますが、現在高齢者がもらっている年金額の水準は、将来現役世代がもらう水準に比べ高い所にあるので、ここを減らすことで、逆に公平性を保つことになると考えることも出来ます。

・過去のハイパーインフレを研究してみました
ドイツのハイパーインフレ
日本の戦後ハイパーインフレ
ブラジルのハイパーインフレ
ロシアのハイパーインフレ
ジンバブエのハイパーインフレ

 

この間、外貨準備を崩して海外投資家の円売りに対抗するも、円安は加速(もちろん、積み上がった莫大な国内資金が海外に流出してしまうと、猛烈な勢いで円安が進行してしまうので、それを防ぐため、政府は預金の引き出し制限とともに、取引規制も実施することになります)。

※現在日本政府は約1.3兆ドルの外貨準備を保有しています。しかし、その7割近くが勝手に売れないと思われる米国債のため、短期対外債務約1.9兆ドルの流出に対抗できる円買い余力はないと思われます。

(参考)対外債務(GDP比)、外貨準備ランキング

 

輸入インフレ(原材料の仕入価格上昇)により、商品の多くがやがて値上がりし始めます※1。一方、輸出は時間とともに円安効果(価格競争力UP)が発揮され、拡大していきます(短期的には工場の稼動余力分)。長期的に、輸入に必要な外貨はこれで確保することができます※2

 

※1 輸入品の国内生産体制が整うまでは、輸入品にある程度頼らざるを得ません。また、あくまでコスト増による価格上昇なので、企業の利益が増えるわけではありません。

※2 輸入品(食糧や部品など)の代替品生産を国内で進めることで、輸入を縮小することはできます。しかし、国内で生産できないエネルギー資源だけは輸入に頼らざるを得ず、それを購入するための外貨が最低限必要となります(円の信用が失われた(通貨交換ができなくなった)場合、輸出が外貨を自力で獲得する唯一の手段となります。輸出で外貨が獲得できない場合は、海外から外貨を借り入れる[外貨建て対外債務]ことになります)。

仮に、外貨不足により、エネルギー資源の輸入が止まってしまうと、生産活動はガタ落ちします。すると、一気にモノ不足に陥ってしまい、モノと通貨量のバランスが大きく崩れ、インフレが急進する恐れがあります。

日本の消費エネルギーの約半分を占める石油は、約半年ほどの消費量が備蓄されていますので、しばらくは適当な価格で供給することができます。しかし、こうなると、東日本大震災後の原発停止による国内のエネルギー供給力低下がボディーブローのように効いてきますね(汗”)

(参考)一次エネルギー国内供給の推移-エネルギー白書2010

 

私たちが受ける影響としましては、生活必需品(食糧、電気・ガスなど)の価格上昇により、購買力(一定のお金で買えるモノの量)が低下し、ぜいたく品を買う余裕が縮小します。

よって、ぜいたく品を販売する企業から業績は悪化し、その影響から政府の税収(法人税、所得税)も落ち込みます。さらに、企業の業績悪化から所得(給与)が落ち込むと、時間差で消費も落ち込み、それがよりいっそう企業の業績を悪化させることになり、税収もまた落ち込むという負のスパイラルが発生します。

※輸出の増収が本格化するのは、工場拡大が完了した後になります。それまでは、既存工場の稼動余力分しか、生産数を増やすことは出来ません。

 

また、いくら思い切った歳出削減を断行しても、国民の生活を維持するためには最低限必要な歳出がある上、増殖する国債の利払費が負担となり、とても財政赤字を継続的に解消することはできません。

市場に買い手がいない状態で、「財政赤字」や「償還を迎えた国債の借り換え」が発生するということは、「裏づけのない通貨を市場に投入する」ことになりますので、これが続く限り、通貨の価値は減っていきます(モノの供給量が一定であれば物価は上がっていきます)

つまり、通貨の価値を保つためには、早急に財政運営(政府の資金繰り)が正常に行えるまで、債務を圧縮(返済)する必要があるのです。

※国債を発行しても市場に買い手がいないと、その国債を日銀が買い取ることになります。そして、その代金は国債の利払費や年金、公務員給与という名目で市場に投入されることになります。

 

そこで、政府はそれを可能にするため、新たな税制度を設けようとします。たとえば、預金や有価証券などの保有資産の一定割合を税として徴収(累進課税)するなど

※これを消費税の大幅引き上げで実現しようとすると、上記で述べた輸入インフレと同じ原理が働き、全体的に企業の業績は大きく悪化します。その結果、税収も思うように増えません。よって、できるだけ消費を落ち込ませないところから集めることがポイントになります。

 

ここで一気に巨額の資金を徴収して、財政運営が正常に行えるまで債務を圧縮(返済)します。このような展開であれば、全体的な被害を最小に抑え、リスタートを切ることができるのではないでしょうか。

しかし、まぁそう上手く事が運ぶとは思えません(汗”)

 

その他の考えられるシナリオ

日銀が民間銀行の保有する国債をすべて買い取った場合、民間銀行は国債の評価損失問題から免れますが、同時に国債から得ていた金利収入も失います。このままそのお金を置いてるだけでは、人件費や預金金利払費を収入でまかなえなくなり、赤字が発生してしまいます。

赤字が発生すると自己資本が目減りしてしまうので、自己資本比率規制の影響から、貸出しや株式などのリスク資産を圧縮することになります。すると、生産活動にブレーキがかかり、モノ不足の進行とともに財政赤字も拡大していきます。その結果、モノ不足の市場に裏づけのない通貨を投入し続けることになるので、インフレが加速していきます。

かといって運用しようにも、国内にはこの巨額の資金を受け切れるほど、安定的に収入を得られる投資先がありません。

 

また、評価損が発生している金融機関の国債を日銀が買い取らない場合も同様です。

国債の時価評価を免除しても、それだけでは財政赤字は減りません。財政赤字が続く限り裏づけのない通貨が市場に投入されますので、こちらも同様にやがてモノと通貨量のバランスが崩れ、インフレが加速していきます。

 

預金の引き出し制限がされない場合はもっと悪くなります。金融機関が壊滅的なダメージを受け、生産活動に急ブレーキがかかります。モノの供給量が減ることに加え、消費者が大量の通貨を使用できる状態になるので、インフレが急進してしまいます。

 

取引規制を実施しないと、猛烈な勢いで円が海外に流出していきます。その結果、急激な輸入インフレが発生します。また、預金引き出しと同様に、金融機関はそのお金を、貸出しや株式などのリスク資産を圧縮することで捻出しなければなりません。その結果、こちらもモノの供給量が減ることに加え、裏づけの無い通貨が発行され続けることになり、インフレが加速していきます。

 

思い切った歳出削減が実行されず、買い手のいない市場で巨額の財政赤字が発生し続けると、裏づけの無い通貨が市場に投入され続けることになりますので、やがてモノと通貨量のバランスが崩れ、インフレが加速していきます。

 

だからといって、国債の買い手を海外に求めていくのは、一番やってはいけないことだと思います。信用が失墜した円で国債を発行しても、もはやどこも買ってくれないので、当然ドル建ての国債を発行することになります。しかし、国債を発行しても財政赤字が解消することはなく、引き続きドル建て国債を発行することになります。

これに円安・ドル高が重なって、円ベースで見た日本の債務に占めるドル建て債務の割合が急速に拡大していきます。あら不思議、気づいたら日本は海外のもの(借金の担保)になってしまいました。あとは海外の借金を返済するために資産をささげ、働くことになります。

投稿日:2012年01月21日 12:00
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