インフレ転換後のリスクを考える上で、国債のデュレーションの重要性に気づ...

学校では教えてくれない株のことを、年平均+30%で運用しつづける管理人がイチからわかりやすく教えています。

国債金利が上昇しても預金引き出しが発生しなければ金融機関は大損しない?

日本債務危機


インフレ転換後のリスクを考える上で、国債のデュレーションの重要性に気づきましたので、今回はこれをもう少し深く掘り下げていきたいと思います。

(参考)金利が1%上昇したら日本国債の価格は何%下落する?

 

あれからデュレーションについて調べた結果、「金融機関はその預金の想定預け入れ期間に合わせて、運用資産のデュレーションを調整している」ということが分かりました。

たとえば、銀行が1年の定期預金で資金を調達した場合、その期間に合わせて1年物国債で運用するという具合です(生活費の一時預かり的な役割の銀行よりも、長期預け入れが前提の保険会社のデュレーションの方が長くなります)。

 

つまり、これはどういうことかというと、国債の金利がそこそこ上昇しても、「大規模な預金の引き出しが起こらなければ、金融機関が大きな損失を被ることはない」ということです

※“満期保有目的”の国債は時価評価は適用されません。“売買目的”で保有する国債には時価評価が適用されます。“その他”の場合は、時価が著しく下落(時価が取得原価に比べて50%以上)し、年度末までに回復する見込みがない場合、損失として計上することになります[減損処理]。保険会社保有する“責任準備金対応債券”は時価評価が不要で売買も可能です。

 

■三菱東京UFJフィナンシャルグループ (H23.3.31)

売買目的の国債残高 なし
満期保有目的の国債残高 1兆円
その他の国債残高 44兆円
デュレーション 3.1年 ⇒国債金利1%上昇で価格は約3%下落

 

■ゆうちょ銀行 (H23.3.31)

売買目的の国債残高 なし
満期保有目的の国債残高 107兆円
その他の国債残高 38兆円
デュレーション 3.8年(2007年JPモルガン推定)

 

■かんぽ生命 (H23.3.31)

売買目的の公社債残高 なし
満期保有目的の公社債残高 37兆円
その他の公社債残高 38兆円
デュレーション 6.1年(2007年JPモルガン推定)

 

たとえば、銀行が金利0.1%の1年定期預金で調達した資金を、金利1%の1年物国債に向けた場合、この定期預金が解約されて引き出されない限り、たとえ国債の金利が上昇したとしても、年間0.9%の利益を得ることが出来ます。

しかし、途中でこの定期が解約されて引き出されると、銀行はその資金を用意する必要があるため、価格が大きく下落した国債を売らなければなりません(足りない分は別途用意)。その結果、国債の価格下落による損失が発生してしまいます。

※簡略化のため、上記以外の資産を持たない単純なモデルを考えています。

 

以上より、たとえインフレ転換により国債の金利がそこそこ上昇したとしても、預金の引き出しが発生しなければ、金融機関が国債保有によって大きな損失を被ることはない」と言えるのではないでしょうか。

投稿日:2012年02月04日 08:08
デフレ維持とインフレ転換後の債... 前のコンテンツへ  次のコンテンツへ 金利上昇局面では、銀行の貸出事...