銀行の貸出事業においては、景気拡大による金利上昇が業績に好影響を与えるという一応の結論を得ることができましたが、有価証券(主に国債)投資事業に関してはどうでしょうか。
(参考)金利上昇局面では、銀行の貸出事業の業績は良くなりやすい
今回は三菱東京UFJフィナンシャルグループをモデルケースとして考えていきたいと思います。
■平成23年末時点の貸借対照表
・借入先 [負債サイド]
預金 133兆円
社債 6兆円
株主資本 10兆円
その他 60兆円
・運用対象 [資産サイド]
貸し出し 81兆円
有価証券 73兆円
∟日本国債 46兆円
(デュレーション 約3年)
∟外国債 15兆円
∟日本株式 3兆円
現金 9兆円
その他 47兆円
(参考)金利が1%上昇したら日本国債の価格は何%下落する?修正デュレーションによる考察
■平成23年9月末時点の自己資本比率について
自己資本比率 15.4%
自己資本 12.4兆円
リスク資産 80.3兆円
自己資本×8% 6.4兆円
(参考)自己資本比率規制
■平成22年3月期の損益計算書 (23年3月期の代用)
貸出金利息 1.1兆円
有価証券利息配当金 0.3兆円
経常利益 1.2兆円
仮に、普通預金(金利0.02%[H24.1.31])で資金を調達し、それを全て3年物の国債金利(金利0.2%[H24.1.31])で運用したとすると、金利が1%上昇するごとに約0.46兆円の逆ザヤ(損失)が発生することになります※。
※国債保有残高46兆円×1%=0.46兆円
しかし、貸出金金利は普通預金金利よりも上昇する傾向にあり(2006年は普通預金金利0.01%→0.2%≒+0.2%、貸出金金利1.3%→1.8%≒+0.5%)、貸出事業では利益が発生することになります。
また、国債残高46兆円に対し、貸出金残高は81兆円と倍近くあることからも、インフレ(景気過熱)抑制のために普通預金金利が3%程度に引き上げられたとしても、自己資本比率規制に引っかかるほど、銀行の業績が悪化することはないように思えます。
銀行の貸出事業においては、景気拡大による金利上昇が業績に好影響を与える...