※2012年8月に「実質GDP値の変動」シミュレーションを追加しました。あ...

学校では教えてくれない株のことを、年平均+30%で運用しつづける管理人がイチからわかりやすく教えています。

デフレ維持とインフレ転換後の債務残高(対GDP比)推移をシミュレーション

日本債務危機


こちらで書きましたように、私はデフレが財政赤字(対GDP比)を拡大させている要因のひとつだと考えています。

そこで、今回はこのままデフレが続いた場合と、インフレに転換した場合とで、その後の債務残高(対GDP比)がどう推移していくかをシミュレーションしてみたいと思います。

 

※シミュレーション結果は数値を少しいじるだけでだいぶ変わります。そして、今回仮定した数値はハッキリ言って適当です(笑) とりあえず関連内容をググッてみたり、自分で日米の過去30年分のデータを分析してみましたが、それでもあまり当てにならないと思います。なので、今回は「どこがどう変われば、どのような方向に向かうか」をお伝えできればと思います。

 

■スタート条件

26兆円の財政政策で、経済を2005年水準まで立て直したところから

名目GDP 500兆円 (2005年基準、2010年481兆円)
税収 47兆円 (2005年基準、2010年40兆円)
歳出 90兆円 (2008年85兆円、2010年95兆円←リーマン対策)
国債残高 800兆円 (2011年弟3四半期末残高774兆円)
借入金 52兆円 (2011年弟3四半期末残高)
政府短期証券 129兆円 (2011年弟3四半期末残高)

(参考)GDPとは
(参考)名目・実質GDPとは
(参考)日本が抱える財政問題

 

■デフレ維持の仮定

インフレ率※1-0.5% (2000年~2010年平均-0.3%)
 ∟財政支出:なし
実質GDP成長率:1.0% (2000年~2010年平均0.94%)
税収弾性値※2:1.14[内閣府] (IMF推計:1.10)
歳出:インフレ率に連動 (高齢化に伴う社会保障費の増加は考えない)
国債利払い平均金利:1%
その他債務金利:対国債金利比に等しく連動

※1 消費者物価指数
※2 名目GDP成長率が1%変動すると、税収が何%変動するかを表す。内閣府の試算では、所得税1.2、法人税1.3、消費税1.0。

(参考)需要と供給
(参考)インフレとは
(参考)デフレとは

 

■インフレ転換後(金融政策のみ)の仮定

インフレ率:2.0%
 ∟財政支出:なし
実質GDP成長率:2.0%※1
税収弾性値:同上
歳出:同上
国債利払い平均金利:10年かけて段階的に5.0%へ引き上げ※2

※1 日米過去30年のデータを見る限り、緩やかな景気拡大期において、実質GDP成長率はかねがねインフレ率の1倍~2倍に収まっている。

※2 普通国債残高の残存期間別内訳-財務省より
  短期預金の金利は長期に比べて鈍感であり、上昇幅も限られる。
  (参考)金利上昇局面では、銀行の貸出事業の業績は良くなりやすい

 

■インフレ転換後(財政支出あり)の仮定

インフレ率:同上
 ∟財政支出:毎年対GDP比2.0%
実質GDP成長率:同上
税収弾性値:同上
歳出:同上
国債利払い平均金利:同上

 

以上の3パターンの債務残高の推移を比較したものが↓図になります。

債務残高(対GDP比)

 

とりあえず、このままデフレが続いていけば、確実に債務残高(対GDP比)は積み上がっていきす。ただ、インフレに転換したからといって、状況が劇的に変わるわけでもないようです。

仮に、量的緩和などの金融政策だけでインフレ転換ができたとしても、これから高齢化が進むにつれ社会保障費が上記設定より増えることを考えると、債務残高の対GDP比を減らすまでには至りません。

(参考)量的緩和は貸出増・株高・円安を発生させたのか?

 

次に、国債金利の変動が及ぼす影響を見るために、上記の「インフレ(財政支出あり)」のケースで国債利払い平均金利を動かして推移の変化を見てみます。

国債金利とインフレ転換後の国債残高(対GDP比)推移

平均金利が1%上がることに国債残高(対GDP比)の増加スピードが飛躍的に速まっています。800兆超円分の利子払いですから当然ですね。

ただ、国債の政府負担増に関しては、日銀に市場から国債を買い取ってもらうことで解消することはできます。しかし、それが行き過ぎると市場にお金が溢れ過ぎてしまい、インフレを制御できなくなってしまうので無制限にはできません。

(参考)国内需要を拡大させる対策(日銀による国債買い取り)

 

最後に、実質GDP成長率が及ぼす影響を見るために、上記の「インフレ(財政支出あり)」のケースで実質GDP成長率を動かして推移の変化を見てみます。

実質GDP成長率別国債残高(対GDP比)推移

実質GDP成長率が1%上がることに、飛躍的に財政収支[税収-歳出]が改善されていきます。私がシミュレーションしたところ、“何より”重要となるのが、この実質GDP成長率でした。

 

実質GDP成長率を高めるには、今以上にモノをたくさん買ってもらわねばなりません。そこでポイントとなってくるのが国民に好況が続くと信じさせることです。この先、好況が続くと確信できれば、将来に対する不安がいくぶんか解消され、財布の紐も緩みます。しかし、このまま放っていても好況がやってくるとは思えません。そこで、財政支出を利用して意図的に好況を創り出す必要があります。

(参考)国土強靭化でデフレ脱却! 「公共事業=悪」が誤解とわかる事実

 

仮に、景気拡大の過程でインフレ率が許容範囲を超えていきそうなときは、財政支出を減らしたり、増税して市場からお金を吸い上げて対応します。その結果、財政収支[税収-歳出]はいっそう改善していきます。

なお、金利の上昇過程で「国債を保有する銀行が損失を抱えてしまうのではないか?」と心配されるかもしれませんが、企業向け貸出事業の利益増で相殺できますので、それほど心配する必要はありません。

住宅ローンに関しても、半分ほどが変動金利で、固定金利も固定期間後(5年・10年)に新たな金利水準を反映させることができますので、継続的に収益が圧迫される心配はありません。むしろ、新規申し込みが増え、業績向上に繋がる可能性が高いです。

また、国債を多く抱える保険会社に関しても、大規模な預金引き出し[解約]が発生するような事態(過度なインフレなど)にならない限り、保険の支払金額が固定されているので経営が破綻することはありません。

(参考)国債金利が上昇しても預金引き出しがなければ金融機関は損しない?
(参考)金利上昇局面では、銀行の貸出事業の業績は良くなりやすい
(参考)預金金利が上昇して国債運用で逆ザヤが発生しても影響は小さい?

 

上記の他にもいろいろなパターンを考えてみましたが、今後、いっそうの高齢化が進むことを考えると、“適度なインフレ水準”を保ちながら財政を再建するには、やはり社会保障費を削減(年金給付の引き下げ、医療費自己負担の引き上げ)しないことには実現が難しいと思いました(汗”) また、そうすることで社会保障制度の維持に対する不安が解消され、現役世代の消費が活性化することも期待できます。

投稿日:2012年02月03日 15:27
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