世間をにぎわすTPP問題のわかりやすい解説(自称)。そのメリット・デメ...

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「TPP問題のわかりやすい解説」 数字で見るメリット、デメリット

政治


TPPってかんたんに言うと、「カネ・サービス・モノ・ヒト」の国家間移動に関する規制を撤廃するってことですよね。

(参考)TPP-wiki

 

で、参加国はどこかというと、アメリカとアメリカとアメリカ…。

TPP参加交渉国のGDP[ドルベース]比率

これ、日本を抜いたらTPP圏に占めるアメリカのGDP比率80%超えてますよね(汗”)

つまり、TPPの交渉とは実質的にアメリカとの交渉なわけです。とりあえず全ての議論は置いといて、そもそもアメリカがわざわざ自国が損をするようなことを積極的に進めるわけがありません。

よって、「この裏にどんな罠が仕掛けられているのか」を考えることから始めるのが基本でしょう。

 

TPP問題でよくモノの移動に関する議論がなされてますが、これはハッキリ言って議論するまでもないと思います。

 

米国向け輸出における関税撤廃品目が占める割合は約40%です。関税品目は約60%で、うちその半分以上を自動車(乗用車97%、バス・トラック3%)が占めます。

 

>米国の対日輸入関税 [内閣官房 国家戦略室]
米国の対日輸入関税

 

しかし、その自動車[乗用車]の関税率がたったの“2.5%”(トラック25%)なんです(汗”)

これをゼロにしたって輸出がどれだけ伸びるんでしょうか? ちなみに、アメリカ向け自動車輸出[乗用車、バス、トラック]2.5兆円(2011年)で、GDPに占める割合0.5%に過ぎません(為替[円高]の影響を避けるため、すでに現地生産が進んでいます。現地生産が進むということは、それだけ国内の雇用が減り、現地の雇用が増えるということです)。

それなら円安政策を進めて、全輸出品目の世界に対する競争力を高めた方が、国内の雇用も増え、遥かにメリットがあるでしょう(2円円安になればTPP以上の効果が得られるのではないでしょうか)。

(参考)包括的経済連携の現状について p16-内閣官房
(参考)[輸出入額の推移(地域(国)別・主要商品別)] -財務省

 

逆に、日本の対米輸入における関税撤廃品目が占める割合は約75%です。そして、関税品目の半分が農産物です。みなさんご存知のとおり、日本で関税が高い品目ってほとんど食糧(コメ・牛肉など)なんですよね。

 

>日本の対米輸入関税 [内閣官房 国家戦略室]
日本の対米輸入関税

 

コメには341円/kgの関税がかけられていますが、仮に10kgのコメを輸入したら関税だけで3,410円になります。

国内産のコシヒカリ10kgの販売価格が3,000円~4,000円くらいですから、実質輸入できなくしてるんですよね。

仮に、この関税を撤廃したら、広大な農地で大量生産されたアメリカ産の安い日本米(精米:アーカンソー産コシヒカリ11.2ドル/10kg、カリリフォルニア産あきたこまち8.8ドル/10kg)がどんどん流入してくるでしょう。当然、日本の多くのコメ農家が廃業に追い込まれます(物理的に競えません)。

(参考)輸入統計品目表(実行関税率表)実行関税率表(2012年4月版)-財務省
(参考)TPPと世界のジャポニカ米:その生産潜在性と日本の輸入の可能性-九州大学大学院農学研究院

 

日本のGDPに占める農業の割合1%(4.8兆円)なので、大したことないと言われる方もいますが(アメリカ向け自動車輸出より大きいのですが)、自国で消費する食糧[主食]を自国でまかなえない状態にするということは、国家のライフラインを放棄するようなものです。

農地は一度駄目になってしまうとスグには復活できないので、国防のためにも関税をかけてその生産を守る必要があります。家畜も一度縮小するとスグには拡大(育成)できないので同じです(牛肉の関税は50%)。

一方、魚(天然)に関しては、自然の生態系を持っており、環境さえ整えていればある程度安定した漁獲量を確保できます。また、海に囲まれている日本の漁業環境は、アメリカと比べてもそん色なく、とくに競争上不利になることはありません。

ゆえに、農産物のように高い関税をかける必要もなく、実際もそのようになっています。むしろ日本近辺の乱獲をなくすことで、ライフラインの強化にも繋がっています。

(太平洋戦争はライフラインのひとつであるエネルギー資源の枯渇[輸入停止]が原因で勃発したとも言われています)。

(参考)管轄海域情報管理~日本の領海~-海上保安庁

 

内閣府の試算によると、このTPPで得られるメリット“10年”で2.7兆円です。

そもそも、TPPに参加してもアメリカ向けの輸出品の関税が無くなるだけであって、中国やEUには適用されません。つまり、輸出が伸びると言っても(そもそも伸びるか分かりませんが)、それはあくまで対アメリカに限ってです。

ゆえに、TPPで得られるメリットは世間で言われてるほど大きくないと思います。こんなすずめの涙ほどの利益を得るために、国家のライフラインを放棄するなど考えられません。デメリットが大きすぎます。

以上より、個人的にはこれだけでもTPPへの参加は反対です。

(参考)GDP(国内総生産)に関する統計-農林水産省

 

ただ、私がTPPの内容を聞いて真っ先に思ったことは、「日本国民の金融資産を狙ってるんじゃないか?」ということです。ちなみに、医療保険制度など国が提供する金融サービスについてはTPPの適用外とのことです。

 

モノに関する議論も大事ですが、近代経済に与える影響で言えば、「カネ」「サービス」の方が圧倒的に大きいです。

 

産業別GDP構成比

(参考)生産(産業別GDP等)-内閣府

 

もしかしたら、今回の議論を加熱させ、国民の意識をこれに集中させたうえで、「食糧に対する関税権を認める」という譲歩をえさに、「カネ」「サービス」分野でメリットを得られるように交渉をまとめるのが、アメリカの戦略なのではないでしょうか。

投稿日:2012年09月03日 18:18
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