脱原発問題は単なる経済的問題ではなく、国家戦略に関わる重要な問題です。...

学校では教えてくれない株のことを、年平均+30%で運用しつづける管理人がイチからわかりやすく教えています。

「脱原発問題を考える」 経済・国防の観点から原発のメリットを見る

政治


さて、前回は原発のリスクについて書きましたが、そのリスクのある原発をこれまで稼動させてきたのですから、当然それ相応のメリットもあるんです。

今回はそのメリットについて書いていきたいと思います。

 

まず、よく言われるメリットは「低コストで発電できる」という経済的なものです。

 

エネルギー別発電コスト

※「太陽光」「風力」は予想下限の発電コストを採用

 

一次エネルギー構成比率の国際比較

(参考)発電コスト試算シート-国家戦略室
(参考)一次エネルギー構成比率の国際比較(2008年実績)-資源エネルギー庁

 

ご覧いただけるように原子力の発電コストは最も安い水準にあり、現在日本の主要エネルギーである石油の発電コストと比べると、約4分の1の水準です

また、現在普及に力を入れてる太陽光発電に対しても3分の1の水準です。

※原発事故発生前は5.9円/kwhでしたが、今回の事故を踏まえて事故対応費用として約3円/kwhが上乗せされました。ただし、今回の事故対応の最終的な費用はまだ確定しておらず、事故対応費用が1兆円増えるごとに0.1円/kwh上昇するとされています。

(参考)原子力発電所の事故リスクコストの試算-内閣府 原子力政策担当室
(参考)3.11後の国民的なエネルギー選択-ダイヤモンドオンライン

 

2011年の東日本大地震以降、原発は順次停止されました。そして、節電で必要電力を抑えるとともに、足りない分を化石燃料(石油、石炭、天然ガス)による発電で補っています

 

<2011年の輸入[対前年比]>

原油及び粗油 21.4%
石炭 16.5%
液化天然ガス 37.9%

(参考)原子力発電所運転実績-日本原子力技術協会
(参考)主要商品別輸入(世界) 平成23年-財務省

 

石油はもともと原子力より発電コストが4倍ほど高いうえ、昨年は液化天然ガスの価格も上昇したため、平均的な発電コストが上昇しました。

電気代・ガス代の物価指数推移

(参考)平成22年基準消費者物価指数-総務省統計局
(参考)LNG(天然ガス)の輸入価格の推移-中部電力

 

そして、今後はこの不足分を再生可能エネルギー(主に太陽光発電※1)で補っていく計画です。ただ、いきなり原発分の電力を補えるわけでなく、10年・20年かけて補うことになります(政府目標は2030年に国内電力の30%※2)。

原発を稼動させないのであれば、引き続きその間不足する電力を割高な化石・再生可能エネルギー発電で補うことになります(CO2排出増分の負担も増えます)。

そんなことになれば、とうぜん電気料金は大きく上昇※3し、ますます家計が圧迫されます。経済政策が現在の方針のままであれば、高い確率で消費は冷え込み、景気はさらに悪化していきます。そうなると、さらに多くの人が職を失い、路頭に迷ってしまいます。自殺者も増えるでしょう。

20120909_2.png

ご覧いただけるように、経済が急激に悪化(インフレ率がマイナス転換)※4するタイミングに合わせて自殺者数が増えています※5

 

※1 2012年7月1日から始まった「固定買取制度」に関しては書きたいことが山ほどありますが、ここに書くとめちゃくちゃ長くなってしまうので改めてページを用意させていただきます。→太陽光発電の『固定買取制度』が電気料金に及ぼす影響

※2 (参考)エネルギー・環境に関する選択肢-国家戦略室
※3 (参考)太陽光発電の固定買取制度が電気料金に及ぼす影響
※4 (参考)日本が抱える経済問題
※5 (参考)平成23年中における自殺の状況-警察庁

 

 

そしてもう1つのメリットが「国防力を高める」ことです。おそらく国家戦略的には、こっちの方が比重は高いかと思います。

 

みなさんご存知のように、日本はエネルギー資源をほとんど輸入に頼っています。原子力を除けば自国でまかなっているエネルギー資源は4%に過ぎません(2008年の太陽光・地熱は全体の0.65%)。

つまり、エネルギー資源の輸入をストップされると、たちまち生産力(国防力≒経済力)がガタ落ちしてしまうのです。エネルギー自給率の低い国(フランスなど)が、原子力発電を拡大してきたのはそういった理由からです。

 

エネルギー自給率

↑クリックで拡大します

(参考)4.エネルギー自給率の動向-資源エネルギー庁
(参考)各国のエネルギー自給率と原子力利用の関係-資源エネルギー庁

 

採算度外視で国内に埋もれてる石炭を掘り起こせば、“数年分”の電力を確保することができるそうですが、そのためには事前に大規模設備を建て、維持・管理しておくことが必要となります。また、資源に限りがあるので、平時はこれを使用できません。

 

原子力発電の燃料であるウランも輸入しているのですが、備蓄が容易であることや、使用済燃料を再処理することで再利用できることから準国産エネルギーとして位置づけられています(ただし、2012年現在においては再処理→再利用のサイクルはまだ確立されていません)。

(参考)石炭資源開発の流れ-国際資源開発人材育成プログラム
(参考)4.エネルギー自給率の動向-資源エネルギー庁

 

また、再生エネルギーと違って昼夜天候問わず、安定的に電力を供給できる点も大きなメリットです(戦時中は物資を製造する工場は、天候が悪かろうが夜間だろうがフル稼働できなければなりません)。

あとは、やはり「核兵器を作ろうと思えば作れる」という抑止力を働かせることができる点も大きいでしょう。

 

断っておきますが、もちろんこれは戦争をするためではありません。自衛のために必要なことなのです(あとは、エネルギー資源を外交の道具として使われ、無茶な要求を呑まざるを得ない状況を回避するためなど)。

実際、太平洋戦争はエネルギー資源(石油)の輸入停止が最後の一押しになったとも言われています。太平洋戦争が終わって半世紀が過ぎましたが、長い歴史を見ていただいても分かるように平和が続くという保障はどこにもないのです。

ちなみに太平洋戦争での死者は、軍人で230万人、民間人で80万人と言われています。

 

以上が原発の代表的なメリットでしょうか。

では、これらの事実を踏まえた上で、改めて私の意見を書いてみようと思います。

投稿日:2012年09月06日 11:48
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