7月8日、上海株の暴落(寄付:-8%、引け:-5.9%)を受け、その買い支え資金を捻出するために中国の政府系ファンドが日本株(引け:-3.14%)を売っているとの観測が市場に流れました。
この観測を受け、今回は中国の代表的な政府系ファンドであるCIC[中国投資有限責任公司](総資産6,527億ドル:2013年末)について調べてみました。政府系ファンドですから、だいたいどれも同じポートフォリオ構成ではないかと思います。
ちなみに、日銀のデータによると、2013年末時点での中国の対日証券投資(株式)残高は3.2兆円、対日証券投資(債券)残高は14.3兆円となっています。
■CICのポートフォリオの内訳(CIC年度報告より)
構成比率 (2013年末) | |
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株式 | 40.4% |
債券 | 17.0% |
絶対収益投資 | 11.8% |
長期投資 | 28.2% |
絶対収益投資:ヘッジファンド含む
長期投資:直接投資、PE、エネルギー・工業、不動産、インフラなど
■株式の地域別内訳
構成比率 (2013年末) | |
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米国 | 46.1% |
米国以外の先進国 | 36.8% |
新興国 | 17.1% |
■株式の業種別内訳
構成比率 (2013年末) | |
---|---|
金融 | 22.9% |
消費財(必需品) | 12.5% |
IT | 12.1% |
工業 | 10.2% |
エネルギー | 8.5% |
■債券の地域別内訳
構成比率 (2013年末) | |
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先進国国債 | 44.1% |
新興国 | 26.8% |
投資適格社債 | 26.5% |
インフレ連動債 | 2.6% |
以上のデータより、仮に買い支え資金捻出のために資産を売っているなら、日本株だけでなく、欧米株も同様に下落して当然の流れです。
■世界の証券取引所、時価総額(百万米ドル) 楽天証券より
時価総額 (2015年2月) | |
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NY証券取引所 | 19.4兆ドル |
ナスダック | 7.3兆ドル |
東京証券取引所 | 4.7兆ドル |
上海証券取引所 | 4.1兆ドル |
ユーロネクスト | 3.5兆ドル |
香港証券取引所 | 3.4兆ドル |
深セン証券取引所 | 2.5兆ドル |
しかし、欧州株は寄り付きプラス圏でスタートしており、ダウ先物に関しても-1%程度の下落で落ち着いています。
これらの関係を見る限り、「中国政府系ファンドの資金捻出」が本日の日本株下げの主な要因とは考えにくいのではないでしょうか。
7月8日、上海株の暴落(寄付:-8%、引け:-5.9%)を受け、その買い支え資...