期待収益率と不確実性
A株、B株、C株ともに現在の価格は1,000円です。
どれかひとつの株を今購入しなければなりません。
一定期間後に以下に示してある通りに株価が推移するとしたら、どの株を購入するのがもっとも合理的な選択と言えるでしょうか?^^
- A株
- 20%→1,100円
- 50%→1,050円
- 30%→900円
- B株
- 30%→1,050円
- 50%→1,025円
- 20%→950円
- C株
- 20%→1,300円
- 30%→1,200円
- 50%→800円
まず、はじめにABC株それぞれの収益率の期待値を算出してみましょう♪
■期待値
今後得られるであろう平均的な数値(結果)。今後発生すると考えられるすべての現象を書き出し、それぞれが起きる確率をその現象から生じる結果と掛けあわせ、それらすべてを合計して算出する。数値には確率に応じた重みが付け加えられています。
以上より、
- 期待収益率
- A株 1.5%
- B株 1.8%
- C株 2.0%
となり、一番高収益(リターン)が期待できるのはC株だということがわかりました。
では、C株を購入することに決定!
というのは少し気が早すぎますね^^;
もうひとつ大事な要素を忘れてはいけません。
それは、不確実性(リスク)というものです。
■不確実性(標準偏差:σ)
得られる結果のばらつき具合。不確実性が小さいほど得られる結果は期待値周辺のものとなる。それぞれの現象で得られる数値から期待値を引いたものを2乗し、それぞれにその現象が発生する確率を掛けたものをすべて足し合わせた数値の平方根(2分の1乗)で代用します。
期待収益率(期待リターン)はあくまで得られるであろう平均的な収益率であって、不確実性とはまったく独立した要素となっています。期待収益率がいくら高くても、不確実性が高ければ得られる結果がマイナスになることだってあります^^;
以上より、
- 標準偏差 σ
- A株 7.76
- B株 3.54
- C株 22.27
となり、一番不確実性(リスク)が高いのはC株だということがわかりました。
C株は「一番期待収益率が高いけれども一番不確実性が高い」という複雑な状況です。
果たしてABC株、どの株を購入するのがもっとも合理的なんでしょうか。
とりあえず、このままではABC株それぞれが置かれている状況を比較しにくいので、グラフ(散布図)を用いて視覚化してみましょう♪
さて、パッと見て選択肢に入らない株がひとつありますね。
それはA株です。
A株はB株と比べ、標準偏差(リスク)が高いにもかかわらず、期待収益率(期待リターン)が低いという状態です。B株はリスク・リターン両方の面においてB株より優れており、A株とB株の2択なら間違いなくB株を選択します。
残るはA株とC株です。
これは先ほどと違い、それぞれ相手よりも優れた要素をひとつずつ持っていますね。
では、それぞれの値の関係性を比べてみましょう。
- リターン A株:1.8%とC株:2.0%でC株を基本に置いた相対比率0.9
- リスク A株:7.76とC株:22.27でC株を基本に置いた相対比率0.35
数値にしてみると、リターンの関係性が近似しているのに対してリスクの関係性に大きな隔たりがあることがハッキリとわかります。
よって、ほぼ同水準の期待収益率が望めるA株とC株の2択なら、より結果にばらつきの少ないA株を選択するのがもっとも合理的な選択と言えるのではないでしょうか^^
株初心者の皆さん、期待収益率(期待リターン)を比較するときは不確実性(リスク)も忘れずに考慮しましょう☆