ファンダメンタル分析とテクニカル分析 比較検討
比較検討に入る前に、まずはそれぞれの分析についてこれまで説明してきたことをおさらいしておきましょう。
ファンダメンタル分析
長期的に見れば、「株価はその企業のファンダメンタルズを反映した動きをとっていく」ものである。ゆえに、その企業のファンダメンタルズから考えられる株価よりも明らかに低い株価の企業は、時価総額が上昇しやすい。
テクニカル分析(群集心理分析)
その企業のファンダメンタルズが変化していないとき、または変化していることを株式市場が知らないときに限れば、「株価は群集心理を反映した動きをとっていく」ものである。ゆえに、皆が「上がる!」と思うようなチャートを有する企業は、時価総額が上昇しやすい。
では、準備も整ったことですし、さっそく比較検討に入りましょう。
ファンダメンタル分析とテクニカル分析の比較検討
1.分析対象
ファンダメンタル分析→企業そのものテクニカル分析 →過去の株価データ、群集心理(株式を介して存在するもの)
「ファンダメンタル分析」が本質(物事の根本的な性質・要素)を分析するのに対し、「テクニカル分析」はそこから派生してできた、言わば虚像(実際とは異なる、作られたイメージ)とも言えるものを分析している。
ゆえに、テクニカル分析によって得られる根拠は、ファンダメンタル分析によって得られるものに比べると、大変不安定なもの(リスクが高い)と考えられます。
2.一回の売買に要する期間
ファンダメンタル分析→長期間(ファンダメンタルズは、すぐには変わらない)テクニカル分析 →短期間(人の心は些細なことで変化する)
「ファンダメンタルズ」は、すぐには変わらない。また、株価もすぐにはこれを織り込まない。ゆえに1回あたり投資期間も長くなる。
一方、「人の心」は些細なことで変わる。また、株価もこれに敏感に反応する。ゆえに1回あたり投資期間も短くなる。
3.一回の売買に求めるリターン
ファンダメンタル分析→大きい(厚利少売買)テクニカル分析 →小さい(薄利多売買)
「ファンダメンタル投資」は、売買1回あたりに要する期間が長いので、その分、利益も大きく狙っていくのが良い。
一方、「テクニカル投資」は、売買1回あたりに要する期間が短いので、その分、利益は小さくてもいいので回数をこなすのが良い。
4.知識獲得に要する労力
ファンダメンタル分析→大きいテクニカル分析 →小さい
「ファンダメンタル分析」をするなら、ここに労力を惜しんではいけません。正確性を欠いたファンダメンタル分析ほど、たちの悪いものはありません。大きな労力をかけたうえ、損失を出していては何をやっているのかわかりませんからね ^^;
5.投資活動を続けるにあたり、要する労力
ファンダメンタル分析→小さいテクニカル分析 →大きい
基本的に、「ファンダメンタル投資」はいったん投資すればしばらく放置です。それに対し、「テクニカル投資」は投資期間が短いので、頻繁に分析をしなければなりません。