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ROEとROAⅠ

ROE=当期利益÷株主資本
ROA=当期利益÷総資産=当期利益÷(負債+株主資本)

ROEとはROAとは

上式・図を見ていただけるとお分かりのようにROEROAの数式上の違いは「負債を含むか含まないか」だけです。

さて、負債を含まないROEと含むROA、それぞれが表わすものとはいったい何だったでしょうか、改めて確認してみましょう。

ROE→株主資本に対してどれだけ利益を上げているかを表わす
      ≒株主価値※がどれだけ高められているかを表わす

ROA→総資産をどれだけ効率的に使えているかを表わす
      =どれだけ収益率の高い事業に資金を投入しているかを表わす

※株主価値=1株あたりの利益(EPS)、1株当たりの純資産(BPS)

そうです、ROEROAが表わすものは別物なんです。

ROE株主価値の向上性
ROA資産運用の効率性

さて、ここからは具体的な例を用いていろいろ検討してみましょう。

例1)
同業種の企業A・Bは総資産がともに100億円、ROAがともに10%

企業Aは資本比率が20%(株主資本=総資産100億円×20%=20億円)
企業Bは資本比率が50%(株主資本=総資産100億円×50%=50億円)
企業A・Bともに利益を全額内部留保する

ROEとROAの違いとは

企業Aの資本増加率={(20億円+10億円)-20億円}÷20億円=50%
企業Bの資本増加率={(50億円+10億円)-50億円}÷50億円=20%
(利益を全額内部留保した場合、ROE=株主資本増加率)

企業A・Bともに資産運用の効率性を表わすROAは同じ。よって、効率性の面では企業A・Bともに差はないと言えます(ここでは簡易化のため借入金利分の負担はないものと考えます)。

しかし、ROEはずいぶん違いますね。企業Aが50%に対して企業Bは20%です。これは企業Aの方が企業Bより負債をテコにして利益を出しているからです。資産運用の効率性は同じですが、「株主資本に対してどれだけ利益を上げているか(株主価値の向上性)」という点に関しては企業Aは企業Bに比べ優秀な企業と言えます。

一般的に自己資本比率が低い=「悪い」という印象を抱きがちですが、株式会社の根幹に株主価値の最大化という目的がある限り、企業Aの姿は本来評価されるべきです。「負債の金利<投資事業の収益率」ならば負債をテコにどんどん事業を拡大しても問題はありません。逆に、企業Bは「もっと頑張れ」といった感じですね(笑)



例2)
同業種の企業A・Bは総資産がそれぞれ100億円、200億円、利益はともに20億円

企業Aは資本比率が50%(株主資本=総資産100億円×50%=50億円)
企業Bは資本比率が25%(株主資本=総資産200億円×25%=50億円)
企業A・Bともに利益を全額内部留保する

ROEとROAの違いとは

企業Aの資本増加率={(50億円+20億円)-50億円}÷50億円=40%
企業Bの資本増加率={(50億円+20億円)-50億円}÷50億円=40%
(利益を全額内部留保した場合、ROE=株主資本増加率)

企業A・Bともに株主資本に対してどれだけの利益を上げているかを表わすROEは同じ。よって、株主価値の向上性の面では企業A・Bともに差はないと言えます。

しかし、ROAはずいぶん違いますね。企業Aが20%に対して企業Bは10%です。これは企業Aの方が企業Bよりも収益率の高い事業に資金(資産)を投入しているからです。株主価値の向上性を表わすROEは同じですが「資産をいかに効率的に使い、利益に結び付けているか」という点では企業Aの方が企業Bに比べ優秀だと言えます。

企業Aと企業Bの関係ですが、実は例1と例2では雲泥の差があります。「今後、企業の実力がたいして変化しない」と仮定すれば、将来的に、一方は2企業間の株主価値に差はなくなってきます。が、もう一方は株主価値にものすごい差が開くようになります。さて、例1と例2はそれぞれどちらに当てはまるのでしょうか。

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