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ROEとROAⅣ

さて、ここいらでROEROAの関係をハッキリさせておきましょう。

ROEとROAの関係

上図を見てもらえれば分かるようにROAROE」は絶対です(ROAの分母には株主資本+α(負債)がある)。

ROEとROAの関係ROEとROAの関係

ROAがX%と一定の場合、負債が多くなればなるほどROEROAに比べ高くなる

つまり、ROAを高水準でキープしつつ、負債をテコに事業を拡大していく」のが理想です。こうすることで株主価値の最大化を実現することが出来ます。

勘違いしやすいのですが、

ROAを高める株主価値の最大化
ROEを高める株主価値の最大化

なんです。

既存事業のROAを高めているだけでは株主資本を有効に使えていません。株主価値の最大化が実現できるのであれば、ときにはROAを下げてでも新規事業に投資していかなければならないのです。株主資本はそのための新規事業への投資や、借入の担保として使っていくべきなのです。

ROEが高くなる=株主価値の向上」は確かなのですが、ただ単にROEを高めるのが良いとは言えません。ただ単にROEを高めるだけならば、ケース1)でも取り上げたように借入をし、収益率が低くてもとりあえず利益が出る事業に投資していけばいいだけです。しかし、これは決して「株主価値の最大化」には繋がりません。なぜなら「得られていたかもしれない利益」を失っていることになるからです。

他に高収益率の投資先があった場合、そちらに投資していれば得られた利益を、みすみす低収益率の投資先の利益で満足しているのです。企業側は株主価値の最大化をはかるため、単に事業に投資するだけでなく、収益率が高い事業を選別・創造して高ROAを意識して投資する責任があるのです。

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さて、「ROEROAの違いとは」で最後に出した問題ですが、答えは例2です。「企業の実力」とは資産運用の効率性のことを指していて、この能力が変化しないということを仮定していたのです。

例1の企業A・BはROAがともに10%。つまり、企業Bが今後借入を増やし、企業Aと同程度の株主資本比率になったときROEも同程度になり、株主価値も同程度になります。

一方、例2は企業AのROAが20%と企業BのROA10%の2倍の効率性を有しています。今後、企業Aが借入を増やし、企業Bと同程度の株主資本比率になったとき、ROEも2倍になり、株主価値も2倍になります。

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